T「おい、なんだよ!マジかよ!」
キンキンキンキーン キンキンキンキンキーン
スターターの金属音だけがむなしく鳴り響き、エンジンはかからなかった。
俺「マジかよ!おまえ、余計なことすっからだろ!マジで殺すおまえー」
A「悪ぃって。つーか何でだろ?ちょっと見てくるわ。ちっ、最悪だよ!」
Aはボンネットを開け、雨の中、車の外へと飛び出していった。
後ろの二人も大分怖がっているようで不安そうな表情を浮かべながら震えているようだ。
すると、後ろに座っていたBが突然
B「ちょっと!マジ、あれ何?ちょっとあそこ見て見て、早く!」
Bの指差した方を見てみる。車の左前方の森の中に、何やら光っているものが見える。
俺「あっ!何だよ、あれ!」
後ろの二人はすでに発狂している。俺も気絶しそうなほど怖かった。
その光がだんだんと近づいてくる。なにやらライトのようにも見える。
なにか危険を感じた俺はAを車内に戻すべくドアを開けようとした、その瞬間、
その光の正体は突然車の目の前に現れた。
中年の男性のようだ。つなぎのような服を着ていて、手には懐中電灯を持っている。
こんな雨の日に傘も差していない。
Aはびっくりして車内に飛び戻ってきた。
A「なにあいつ?なんなの、あいつ?やべーよ、マジでやべーよ!」
その男はしきりに大声で何かを叫んでいるようだ。
幾分強くなった雨脚のせいで、よく聞き取れなかったが、確かに険しい表情で怒鳴り声を
発している。
ドンドンドンドン 男は運転席の窓を強く叩いた。
もう何がなんだかわからない。頭の中が真っ白だ。
ドンドンドンドンドンドンドンドン 「あ…」
ドンドンドンドンドンドンドンドン 「あけろ…」
ようやく聞き取れた男の言葉にAは無意識にドアを開けてしまった。
A「すいませんすいません!エンジンがかからなくて、すいません…」
男はあいかわらず何かを言っている。
「こ… おま…だ な… どけ…」
男はグイとAを車の外へと引っ張り出して、運転席へと座った。
キンキンキンキン ブルンブルンブルルルルル…
突然エンジンがかかった。
Aを運転席に戻したその男は、ものすごい大きな声で叫んだ。
「ここはお前達が来る場所じゃないんだ!」
混乱して、その後どうしたのか、よく覚えていないが、気付くと4人はコンビニにいた。
俺「マジ怖かった… 」
A「やばかったなー あいつ何者なんだよ…」
後ろの女の子二人は声を出して泣いている。
A「落ち着いて、とりあえず便所でも行くか?」
そのコンビニのトイレは外に設置してあった。
車を降りた4人はフラフラな足取りで便所へと向かう。
そこで俺はふとあることに気付いた。
俺「おいっ!A、おまえ、なんで血ついてんの?」
A「え? 嘘! あっ… 」
Aの右手は血で赤く染まっていた。
女の子二人は気を失ったのか、その場に崩れ落ちた。
A「なんで… なんだよ、この血…」
俺とTは急いで便所にある洗面所で、その手についた血を洗い流した。
A「気持ちわりーよ。なんだよ、この血…」ジャブジャブ
俺「んでも、怪我はしてねーみたいだな。」
A「そうだな。あっ! ま… まさ か… 」
俺「えっ…」
Aがジーンズの右ポケットから取り出した車の鍵は血で真っ赤に染まっていた。
なにやら毛のようなものも付いている!?
ぎゃぁーーーーーー!!!
その日は朝になるまで俺の部屋で4人で呆然としていた。
外はまだ雨が降り続いていた…