数年前のお正月休み明け、兄が向かいの○さんちにすごい美人がいた、紹介してほしいと言い出した。
兄は自宅と職場の往復以外ほとんど外出せず、友達もおらず、彼女いない歴=年齢、
自由になるお金は趣味と二次嫁に費やすという典型的なキモオタだった。
ちょっと前に相次いで体調を崩していた両親は、
このまま家に兄を残して逝ったら孤独死一直線だと気に病んでおり、
兄が生身の女性に興味を持ったらしいこの発言を聞いて大喜びし、
すぐさま手土産を持って向かいの○さんちに行った。
かくかくしかじかな女性と兄から聞いた特徴を伝えたら、Y子さんだろうという返事があった。
Y子さんは二十代でお嫁に行ったけど、子供に恵まれず実家に戻され、当時三十代半ば。
すぐさまお見合いがセッティングされた。
と言っても本格的な物ではなく、我が家にY子さんとご両親を呼んで皆で食事しただけだけど。
Y子さんはちょっと暗いけど物静かで常識を弁えた感じの人で、
兄が言うような思わず二度見してしまうような絶世の美女ではなかったけれど、綺麗な人だった。
その日の夜中、兄が敷地内別居している我が家に来て、俺が見たのはあの人じゃない、別人だと言い出した。
