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鬼嫁の種

【人間が怖い】AはBが会社で不正を働いていることを知っていた。Bに仕事のダメ出しをされたAは不正を公開すると息巻いていたが…

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俺は、幸か不幸かその不正には絡んでいなかったが、公開されると億単位の賠償責任が発生するのはあきらかだった。

俺はその企業に恩もへったくれもなかったが、それをすると、そこの不正に関係しなかった人たちも路頭に迷うと思い、Aさんを説得した。
今でも、それが正しいかどうかはわからない。

その不正は、どこの誰にも損を与えないものだったからだ。(バレなければという前提、ここは詳しく言えない)

…今思うと、俺もいやしい。結局は自分の利益で説得をしていたのかもしれない。

結局、Aさんは落ち着きを取り戻し、その日は帰っていった。

だが次の日の夜、事件は起こった。

Bさんから電話があり

「Aさんと和解できそうだ。中立の立場として立ち会ってくれ」

と。

俺は時間外であったが、これも仕事と思い、和解ならと喜んで付き合うと同意した。

車で迎えに来たDさんと向かった先は、なぜか近場ではあるが人がこない山林だった。

異様な雰囲気、そして多くを語らないDさんがすごく不気味だった。

山林の中のひらけた場所を落ち葉を踏みながら、すすんでいくと

そこにはAさんと彼を取り囲む、B、C、Eさんと見たことない人が数人いた。

Aさんは、落ち葉の上に正座をして、嗚咽をあげながら泣いていた。ヒィヒィと声をあげて。

B、C、Eさんは

「遺書を書け」

とせまっていた。

Aさんは

「書けません」

と泣きながら言っていた。

そこからは、もう記憶がほとんどない。場面も飛び飛びで鮮明に語れない。

ぼんやりとした記憶からは、Aさんは自殺をせまられていたこと。

Aさんは家族を恫喝のネタにされていたこと。決して和解の席なんかじゃなかったこと。

気がつくと俺は自分の家の前で車を降ろされていた。フラフラと眠りについた。

次の日同僚から、Aさんが山林で自殺したと告げられた。俺の昨夜の行動なんて言えやしない。

自分の心にフタをして、沈痛な面持ちで通夜に参列した。

Aさん奥様の

「お手数をかけてすみませんでした…」

の言葉が俺の胸に今も刺さる。

今でも俺が戸惑うのは、B、C、D、Eさんが決して、悪人ではなかったという点だ。

普通にいい人で、よき家庭のパパなのが恐ろしくてしょうがない…。

こんな話はツレにも誰に言えない。

現在俺は、地元の田舎から引っ越して都心で仕事をしているが、しょーもないイビリをやる上司を見るたびに、

(相手がどんなパイプもってんのかも知れないのに…こいつ、命がおしくねーのかな?)

って思う。

-修羅場

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