その日父さんは、いつものように母さんと激しい口ゲンカをしていた。
いつも自分のココロの中で、ひそかに思っていた。
「こんな親にぜってぇならねぇ。いつか出て行ってやる…。」
母さんは酒に狂って、むかしあの暖かい手でオレを包んでくれた人とはまるで別人だった。
いつも小さいオレにボウリョクをふるい、父さんはソレを止めていた。
でも聞いてしまった、あの日の会話を…。
あんトキ、オレは母さんにさんざんなぐられ、
キレていつもより早く布団に入った。
眠れないなぁと思って、トイレにいったんだ。
「まだ起きてるのか」とか言われていつもみたいに
なぐられないように、そっとトイレに通じる廊下を歩いていた。
スグ右側には、母さんと父さんがいるリビングへ入るドア。
父さんの声が耳に入った。
「なぁ母さん、もうそろそろオレが『アレ』をかばわなくてもいいか?
これ以上やっても家を飛び出さないと思うんだ。」
