学生の頃、T字路の突き当たりに位置する
小さな一軒家を借りて住んでた。
大家は隣接した母屋に住んでいる一人暮らしのお婆さん。
独立した(とはいえ同じ市内に住む)
息子さんが昔住んでた離れを貸していた。
小さな台所と風呂があり、小さな庭がついていて、
通りに面して、不相応なほど立派な門柱まであった。
ちょっといいワンルームと同じぐらいの家賃だったが、
大学での実験や酒を飲んだ帰りに遅くなるので、
気兼ねなく暮らせて都合が良かった。
ある日、近くの店で飲んでいたら、
消防車が数台、サイレンを鳴らして走って行った。
「あれ、俺のうちの方に行くよ」
などと冗談めかして言っていたのだけど。
しばらく飲んでいい感じに酔っぱらってから、
勘定を済ませ家路につくと、
家に近付くにつれて、薬っぽい異様な匂いがする。
