「嫌なもん見ちゃいましたよ」と。
たまにカップルが桟橋に侵入していちゃついていることがあるので
それを見たのかな、と思ったがどうでもいいので「帰ろう」というと
「いや、ちょっと確認してもらいたいんですけど」と引き留める。
なんだ?とは思いつつ後輩の連れられてロープをつける場所へ。
使わないコンテナが並べられているところなのでけっこう暗い。
10メートルほど進むと桟橋の一番端、角になっているところまでくるのだが
雨が降っていることもあって数メートル手前までよく見えなかった。
「あれです」と後輩が指をさした先には。
コンテナに立てかけられた柄物の傘と女性もののハンドバッグ。
そして50センチくらい離れた場所、岸壁の縁のところに
女性ものの靴がそろえて置いてあった。海につま先を向けて。
パッと見たときなんだかよくわからない非現実的な気持ち悪さというか、
なんだかよくわからない気分に。
数秒間思考が止まって、それを見続けたら
頭の中で一気にいろいろと繋がって理解した。
「うわあ・・」とだけ呟くと「やっぱり・・ですよね」と後輩。
とりあえず社員を呼んで現場を見せる。社員も絶句して「警察呼ぶか」と。
110番して警察到着。
仕事の時間は終わりだったのでとりあえず第一発見者の後輩だけ残って、
あとは帰らされた。
翌日、社員に聞いた話。置いてあったハンドバッグの中に、
港のすぐそばにあるホテルの部屋の鍵が入っていた。
警官とホテルの人が部屋に入ると、メモに遺書と思われるものがあったらしい。
病気を苦にして・・ということだと。
通報の翌日から数日間、明るくなってから潜水夫らが捜索をしたが
見つからなかった。
傘とバッグと靴の持ち主の姿はまったく見ていない。
でも遺留品だけ、というのはかえってインパクトがあった。
このバイトでは離島に帰るご遺体を船に運び込むことがあって
「死」には触れていたつもりだったが・・・
●コメント
雨ってのがその雰囲気を助長してますね。
●コメント
おおう。文章上手いから衝撃もダイレクトに伝わるね。
●コメント
自殺の際に靴を脱ぐ、っていうのは多分日本人特有のメンタリティなんだろうなぁ
今まで生きてきて凄く衝撃的だった体験 92度目
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/kankon/1365334574/