しかしこれは単なる人助け
よこしまな考えは捨てよう・・・
『じゃあ足はここ、手はおれのポケットに突っ込んどけば寒くないから』
「はーい」
なんだか嬉しそうだしw
モゾモゾと手を突っ込んできて
チャッカリしがみついている
かわいい・・
まじかわいい・・
恋に落ち・・・いやいかん!
しかしこんな時チキンなおれはなんのリアクションも取れず
ひたすら平静を装っている
信号待ちで挽回すべく
『おれも高速でやったことあるよ』
「あは、そーなんですかぁ?」
『・・・』
これがやっとだったんである
ところが彼女は話にのってきた
バイクのこと
彼女は働いてること
彼女も釣りが好きなこと
ゆっくり走りながらヘルメット越し大きな声で話した
スタンドに着くとおれがテキパキと話を進め
小さなタンクを借りて
原チャリのとこまでまた二人乗り
二人がかりで最後の一滴までガソリン入れたら
タンクを返しに今度は2台でスタンドへ
ほんのわずかな時間だったけど
いっぱい話して
2人でトラブル攻略して
小さな達成感があった
もうおれの役目は終わり別れの時が来た
『じゃあ帰るよー』
「あの、すみませ、あの」
バッグから財布かなんか取り出そうとしている
『いーよー、そーゆーのよそ』
「あの」
『気ぃ使わないでいいよ、バイク乗ってっとお互い様だから』
ばか、おれの馬鹿!
彼女は手を止めうつむいてしまった
おれはなんのフォローも出来ず
『じゃ、気をつけて』
と笑顔作って顔を向けると
彼女は手を出し小さくバイバイしてきた
その手に握っていたのは
携帯だった
え?アド?
そのままゆっくり走り去るおれ
そのままこっち見送る彼女
ちょっと下唇が出ているような表情に見えたけど
すぐにミラーから消えてしまった
ああ、時間よ戻れ チーン!